脳波(Electroencephalogram(EEG))
脳の活動は頭皮に電極をつけることにより50マイクロボルト程度の活動電位の総和として検出できます。これを脳波といいます。脳波はひとの意識レベルによって異なったパターンを示します。
(1) 覚醒時脳波
意識が清明なときにはベータ波(β波)と呼ばれる14-30Hzの波が見られます。
(2) 安静時脳波
安静閉眼時には、10Hz前後の波が見られます。これをアルファ波(α波)と呼びます。
(3) α抑制
安静閉眼時にあらわれるアルファ波は開眼することによって抑制され、再び閉眼することによってアルファ波があらわれます。これをアルファ抑制といいます。
異常脳波
脳波は薬物服用、代謝異常、神経疾患等さまざまな原因によって影響を受けます。脳波を検査することによって脳の機能や状態をモニターすることができます。たとえば全身けいれんをともなうてんかん発作では高振幅の波がみられます。
脳波と睡眠
ヒトは人生の3分の1(1日24時間のうち平均8時間)を眠ってすごします。睡眠は眠っているか起きているかだけではなく、いくつかの段階に分かれ、一晩のうちにこれらのステージを何回も繰り返しています。睡眠は脳波によっていくつかのステージに分類されます。
- ステージ1:入眠の初期のうとうとした状態ではアルファー波は消失し、4-7Hzの鋭波(シータ波(θ波))が見られます。
- ステージ2:睡眠がすすむと12-14Hz前後の紡錘紡錘波や0.5秒以上の持続をもつK複合が見られます。
- ステージ3:さらに眠りが深くなるとデルタ波(δ波)と呼ばれる振幅の大きい遅い波が主体となってきます。これは0.5-3.5Hzぐらいの波の高振幅徐波です。ステージ3では20-50%をデルタ波が占めます。
- ステージ4:このステージでは50%以上をデルタ波が占めます。ステージ1から4をノンレム睡眠とも呼びます。
- レム睡眠期:睡眠がすすむと速い眼球運動(Rapid Eye Movement: REM) を伴う入眠期の脳波を示す時期があり、抗重力筋の緊張が低下しています。この段階をレム睡眠期といいます。レム睡眠期では夢をみることがあります。レム睡眠は数分から数十分続きます。
1晩のうちにノンレム睡眠とレム睡眠は約90-120分の周期で繰り返されます。